20

1月

2012

英フォルクスワーゲンの失敗に学ぶソーシャルメディアとの向き合い方

 

フォルクスワーゲンを批判するGREENPEACEのビデオ

 

“気候変動対策のための法律に反対するロビー活動をするのはやめてください。

恥を知るべきです。”

 

“そうだ。そうだ。そうだ。環境を守るための法案に反対するな!”

 

“なんでFacebookの投稿に対して情報操作のようなことをするの?

何か隠したいことでもあるの?”



 海外のニュースサイトをチェックしていると「Volkswagen's Social Media Fail: Car Firm Engages Facebook Users - Then 'Deletes Unfavourable Comments'」というハフィングトンポストの記事を発見した。

 

 この記事によれば、フォルクスワーゲンのイギリス法人がFacebook上で2012年に達成して欲しいことを尋ねたところ、かねてから同社の後ろ向きな環境方針に不満を持っていたGREENPEACEメンバーを中心に市民からの投稿が殺到。寄せられた1000以上の声を無視し、一部を削除してしまったというのだ。

 実際、フォルクスワーゲンのページをのぞいてみると、他の投稿にも多数の批判が寄せられており、「おや、ここにGREENPEACEの人はいないの?」「いるよ〜。やっぱりフォルクスワーゲンの環境方針はやっぱりよくないよ!」といった会話まで行われている。

 

 読者参加型で、双方向性を持ち、リアルタイムに会話が進行するFacebookで、参加者の声を無視すれば厳しい批判にさらされることは珍しくない。こうした同社の対応は、GREENPEACEが手がけるキャンペーンの格好のエサとなり、ホームページでこんな風に煽られる結果となった。

 

“テレビ、ラジオ、出版などの“一方通行”のメディアを通して、一般大衆に情報を伝えるなら、真実は脅威にはならない。これまでは、お金を支払いさえすれば、グリーンに輝く会社のイメージを、あちこちにばらまくことができたから。

 

ところが、ソーシャルメディア時代の現実は全く違う。一般大衆とともに歩もうとするなら、企業はユーザーに声をかけ、ジョークを言い、その話に耳を傾けるんじゃないかな。多くの友だちをつくるために生まれたのがこのデジタルツールなんだから”

 

 ソーシャルメディアが主流となった時代、企業は“人間的”であるべきだというのはマーケティングの神様コトラーだ。

 企業側の価値観を押し付けるのではなく、株主、社員、顧客などのステークホルダーが抱える喜びや悩み、価値観の変容、社会的な課題についても、同じ目線で歩める企業が生き残るという。

 

 フォルクスワーゲンも、気候変動問題に対して独自の主張があり、ステークホルダーとのコミュニケーションを通して定めた環境方針があるだろう。このまま、ステークホルダーの一角をなすNGOの批判を無視し続けるのは得策ではない。今回のことに誠実に対応しようとするなら、裏取引のような幕引きはせず、ソーシャルメディア上で自社の意見を堂々と公開して対応していくべきだろう。

 

 グローバルコンペティションを戦う企業の場合、ソーシャルメディアの導入は不可欠なことだ。フォルクスワーゲンが経験したような失敗をおそれて活用を怠れば、競争相手に自らの顧客が奪われていくのを、指をくわえて見ることになる。そう考えると企業が取るべき態度はただひとつ。顧客と真摯に向き合い、声を聞き、ともに歩む努力をすることだ。

 

 今回の失敗が、フォルクスワーゲンにとって、地球にとって、新しい一歩を提供するものとなることを願ってやまない。

1月20日現在のVolkswagen UKのページ。いまだに批判は続いている。

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